私は、大磯で子育てをしている間に環境問題に関心を持ったのがきっかけで、議員になりました。常に「生活者の立場で」ものを見、考え、皆様に議会の様子を発信しています。今回は新年度の予算を決めた3月議会の様子をお伝えします。
自治基本条例を制定する自治体が増えています。地方分権が進むと、自治体は自立、自主性を確立するために、議会、行政、住民それぞれが役割を担い、協働型社会を築かなければなりません。そのために新しいルールが必要になるからです。
同時に国からの補助金は年々削減される中で、地方税のあり方や財源確保が大きな課題になってきます。大磯町でも事業計画を精査して、限られた財源の中で本当に必要な事業は何であるかを見極めることが求められていると思います。
予算は昨年度より約8億4,700万円の増収を見込んでいます。町税の根幹である個人町民税は3億円を超えています。しかしこれは国の税源移譲や税制改正によるもので、決して景気が回復しているわけではなく、固定資産税は地価の下落で減額が想定されるなど、依然として厳しい状況には変わりありません。実施する事業を十分精査し、慎重に優先順位を決めることが重要であるという理由はここにあります。
通常、町の事業は議会が議決した総合計画に沿って行います。しかし19年度は、15の事業が内容を変更、先送りされました。なかでも国府中学校の校舎の耐震改修事業が先送りされたことは看過できない問題です。子どもたちの安全を守ることは何をおいても、第1に考えるべきです。
19年度予算は、財源を確保するために、財政調整基金(5億9千万円)の48%をとり崩しています。この財政調整基金は、突然の災害や、緊急を要する経費に備えるためのものです。しかし災害時救急医療費は3日分で59万円しかありません。
普通建設事業費は昨年度の2倍です。内容を見ると、行政防災無線の更新、大磯中学校体育館の耐震改修、月京幼稚園の移転費用などです。
月京幼稚園の移転に伴う予算は2億1,251万円ですが、東海大学との間で、大磯町の土地の売買協定書も、契約内容もまだ決まっていない段階で計上されています。協定書は3月29日に結ばれましたが、事業の内容、スケジュールも未定のままです。これはよく精査したうえ、補正予算で出すべき内容だと思います。
総合計画に定めている西部地区の整備に対して、その財源として国から「まちづくり交付金」が出ます。その基幹事業である、万台こゆるぎの森の整備の内容を、町は突然変更し、町民や議会へ何の説明もしないうちに、交付金の申請書を書き換えてしまいました。これまで万台の森については、町が公募した町民の参加のもと、整備や利用計画の検討が進められてきました。背任行為とも言える暴挙です。
1.合計画の変更が多く不安定な町政と議会 軽視が心配。2.財源確保のための「交付金」の申請内容を議会や関係者へ説明しないで変更するなど、政策決定が不透明。3.建設事業費が昨年の2倍に伸びている反面、防災費は予算不足。税制の改正で影響をうける高齢者や弱者への政策が無いなど、生活者の立場から不安が多い予算でした。
私の質問:万台こゆるぎの森は、敷地面積2万8,000坪、鑑定評価額は11億8,000万円の土地で、平成15年に野村土地建物(株)がその内の南側、1万600坪、評価額が9億円に相当するところを「町民の公共的な利用のため」と寄付し、残りの北側を町が2億円で購入した経緯があります。
その利用方法については議会が議決した第4次総合計画や、まちづくり基本計画に基づき、公募による住民参加で検討されていました。さらに19年度の西部地区整備計画では、その財源となる「まちづくり交付金」の対象事業の中で基幹事業となっていました。
それなのになぜ町長は、町民や議会へ何も知らせず、独断で整備計画を変更し、国へ提出する交付金の申請書を勝手に書き換えたのですか。
町長答弁:寄付された土地については公約に掲げているとおり民間活用を検討していきますが、町民の皆さまに開放し、利用できるような事業者を見つけたい。また土地開発公社で購入した土地は町有地として確保し、利用計画に基づいて緑地として整備したい。
私の質問:委員会では財源確保のため売却すると言われたが民間活用との違いが分からない。万台の整備は総合計画で決まっているし、財政健全化計画の経費削減の対象事業にはなっていません。
町長答弁:財政計画の指定がある、ないではなく、公約でのお話です。
私の質問:町長のお話を伺っていると、公約に掲げてあれば、町と協力して整備をしてきた関係者や議会に何の説明もせずに変更しても良い、と言うことになります。しかも、水道を引くなど、周辺整備に3億9,000万円もかける予定のようですが、それは売却先のためにすることになりませんか。
町長答弁:手元に資料がないのですが、周辺整備は必要があってのことだと思っています。私の考えはこれから明らかにさせていただきます。
私の質問:勝手に計画を変更するようなやり方をしていれば、職員はやがて自分の仕事に誇りをもてなくなり、協力してきた関係者は政治不信になります。まして野村に挨拶もしないのは失礼であり、町は対外的な信用を失うことになる、と私は思いますが、町長はそのようにはお考えになりませんか。
町長答弁:町民のために活用できれば信用を失墜するとは思っていません。
私の質問:ものごとの順序から言えば、計画変更については町民に投げかけ、検討すべきです。この計画は変更できるのですか。
政策推進参事:年度内でも変更は可能です。
町長答弁:私も説明をしながら新年度に検討します。