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渡辺順子の議会報告No.17

山の木々が輝きを増してくる季節になりました。皆様にはいかがお過ごしでいらっしゃいますか。私はおかげさまで変わらず元気に過ごしております。さて議会は3月定例会で平成20年度予算案を可決し、新年度がスタートしました。新規事業が盛り込まれた反面、問題も多い予算でした。

今年度の予算の問題点から

借金が増えた下水道事業!残高は84億円

今年度の下水道事業費の総額は18億8,500万円で、前年度より34.1%伸びました。これは町が下水道事業計画を大幅に変更し、西部地区の整備を早めることにしたので建設費が増えるからです。そのため今年度は8億6,870万円の借金で、前年度予算の借金に比べ66.2%も伸びました。そして借金の返済は6億円で前年度より24.9%(1億2千万円)増えました。

平成18年、町が作成した大磯町財政健全化計画では、町の下水道事業は建設費を抑制しつつ進めていくことになっていました。なぜなら財源の多くを借金と一般会計からの繰り入れに頼っているので、できるだけ借金と返済を抑えた計画を立てたからです。

下水道事業計画の変更は、財政健全化計画に大きな影響が出るはずです。私は、まず財政健全化計画の進捗と、事業変更による年次別計画額の見直しを示すべきではないかと考えます。

町は下水道事業の借金が増えたため福祉や教育予算など他の事業に影響が出ることがないよう、事業全体のバランスをとらなくてはなりません。

誰のための1,600万円!

この予算は、運動公園の西側から万台こゆるぎの森まで、新たなルートによる道路をつくるための測量調査と設計委託の1,600万円です。しかし交通量調査もしないで道幅を9.5mで計画しました。今後用地の買収や整備などで4億円かかると見込まれています。

町は万台こゆるぎの森を民間事業者に定期借地権で貸すことを決めましたので、万台までの道路を町がつくる必要はありません。町の中には整備が遅れている道路もありますし、1.600万円を支援が必要な子供のために使うことも可能です。

またこの森は一歩足を踏み入れると清逸な空気に包まれ、人々の心を癒すために利用すれば、お金に換算できない価値を生み出せると評価されています。 税金を使う優先順位が間違っていると思います。

補正ありきは自治法違反

町長は火葬料補助について「今年から全額補助するが予算書には半額分しか計上していない。当然不足するのでその分は補正で出します」と発言しました。

これは当初から補正を見込んでいることになり、「予測される収入および支出は予算に計上し、住民代表の議会の議決を得た予算を通して使用されなければならない」という自治法の総計予算主義の原則に違反しています。

その他、アクセス道路が確保できてない子育て支援センター建設や天下り人事などの問題点も、予算の反対討論で述べました。

私が現在取り組んでいること

町の事業の中で私が緊急の課題として取り組んでいるのは、ごみ処理の広域化や開発事業、景観計画や地球温暖化対策などについての問題提起です。

そのほか障害者自立支援法に基づいた福祉施策が行われるよう取り組んでいます。政策についての疑問や提案は、常任委員会や予算・決算の委員会、また一般質問などで意見を述べ、町の姿勢を質します。昨年12月と今年3月は次の一般質問を行いました。

(財政)税金の無駄 厨芥類資源化施設

私は平塚市とのごみ処理の広域化計画で大磯町が建設する、生ごみからバイオガスを取り出す施設は見直すべきだと考えています。なぜなら、大量の燃えるごみの中から機械を使って生ごみを取り出す方法だからです。機械で選別するのではなく、最初から生ごみだけを分別収集すれば機械選別の施設は不要であり、現在の施設建設費(13億7,700万円)より約4億円は削減できるのではないかと考えられます。(砂川市の資料から算出)そもそも施設自体、必要なのかも疑問な上、導入する横須賀市で行った実証プラントはまだ他の自治体での実績が無く、予想できない負担が発生する可能性があります。

これまで建設経済委員会の席上でも「施設建設は税金の無駄使いではないか、」と意見を述べ続けた結果、やっと町は「この施設の建設にはまだ時間があるので今後検討する余地がある」と回答しました。

(開発)なぜ条例違反のマンションを許すのか

大磯町はいつから条例違反のマンションが建つようになってしまったのでしょうか。

現在大磯駅北側に計画されているマンションは、前面道路が4.5mしかないので、敷地内の一部を6m道路と主張しており、町はこれを認めようとしています。これは明らかに条例違反です。

ひとたびこの計画を町が認めてしまうと、狭い道の奥に大規模なマンションが建つことが可能になり、乱開発が進んで住民生活が著しく破壊されます。

このまま大磯町が明確なビジョンなしに事業者よりのまちづくりを行っていると、町の良さは次々と失われ特徴の無い町になってしまいます。

(環境)地球温暖化対策に数値目標を

地球温暖化が進み地球規模の対策が迫られており、CO2 削減は一人ひとりの緊急課題です。 

町が環境基本計画を策定して5年が経ち、今年は見直しの年になっています。「まず町の公共施設のCO2 排出量を測定調査し、数値目標を設定した削減計画に取り組んではどうか」と提案しました。

その結果本年度からの環境基本計画の実施計画に取り入れられました。

(景観)建物の高さ規制は

もし皆様の隣に高さ15mの建物が建ったら安心して生活できますか。私は一般住宅地の建物は10mぐらいまでに押さえるのが良いと考えますが、現在の町の建築物の高さ規制は地域別に10m〜15mです。 

そこで「町は3年もかけて景観計画をつくっているのに、なぜ景観の基準に高さを加えないのか。このままでは景観重要地区である山王町松並木に15mのマンションが建ってしまう」と質問してきましたが町は「景観計画は色彩や意匠の基準は決めるが、高さは加えない」との回答を繰り返すばかりです。

翻って、岡山県の早島町は8階建てのマンションが1棟建ったことをきっかけに、景観計画を1年でつくり、景観の基準に地域別の高さ規制を入れました。

軽井沢町は脱マンション宣言を行い、マンションの高さは2階立てまでと決めました。いずれも法的な拘束力はありませんが「乱開発から町を守り、落ち着いた生活環境をつくりたい」という町の姿勢を表明したことに意義があると評価します。

ちょっと一言

今回の活動報告は町の事業や20年度予算の問題点が中心の内容になりました。財源が伴わない地方分権、少子化による生産人口の減少、企業の撤退による減税などが与える影響を考えると、これからは無駄な土木事業を極力抑え、環境や福祉、教育に重点をおいた行財政運営が求められていると思います。

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