TOPICS
         ● HIDDEN FRONT PU
         ● TRI SOUND & TAP MINI SW
 ORANGEU


  オレンジ2号。1号がないじゃんって?そんなツッコミ入れて下さったならワタクシとしては
  本懐遂げる極みではあります。隅済みまでご覧下さったってことですからな。ただ、そんな
  労力頂くのは申し訳ないので記載しますが、なんのことはない1号というかその扱いなのは
  
「TWEETY」ちゃんです。アレもオレンジとかオレンジギターとか呼ばれてたもんで。だから
  腹違いあるいは姓の違う兄弟みたいなモンですな。

  デカール貼ってある理由だけでトゥイーティー2号と命名したエレキもありますが、あれは
  ストラトコピーまんまのミテクレで、その点コッチの方が本来の弟的なカンジですかね。
  PG付とはいえ、アレと同様両ホーン短く切り落として整形してますし、なにせ全体的な
  ボディ・シェイプが似通ってます。ヘッドも4対2配列の仕様だし、そしてモチロン色も。

  もっともそのトゥイーティーの2号機的なものを作ろうとしたわけではなく、ボディ・カラーも
  本来は黄色から橙色に変わる寸前の、いわゆる山吹色にしたかったんだけど、色だけに
  色々あって濃くなり、誰に聞いてもそう答えるだろうオレンジ色に仕上がっちまいました。

  さて、コイツの元となったのは、ボディ及びトレモロ・ユニットがヤマハで、80年代に生産
  されていた感バリバリのストラト派生形ボディに、コンコルド型系ヘッドが付いたモデルの
  もの。そしてネックは他項でもお馴染み、昔イシバシ楽器町田店で激安販売してたのを
  大量購入したうちの一本。ポジション・インレイからお解りになる方もおられるように、元は
  本家のBC・リッチではないけどモッキンバード・タイプのもの、つまりはフェルのHIDE
  モデル系のヤツでしょね。なのでヘッドが角度付きなのはその名残りっス。そして双方
  とも弦長的にミディアム・スケールのモデル(用)なので合体にも気を遣うことナシと。

  で、制作コンセプトというか、どないなエレキにしようかと考えたのだけど、ロック・ナット
  搭載を前提としたファイン・チューナー装備のトレモロ(以下Tr)ってヤツ、メカ的には超
  合金ロボ世代のオラにはオモチャとしちゃけっこう面白いんだけど、エレキを楽器として
  捉えるとっていうか実用の道具として考えると、ロック式Trってワシの好みからは少々
  外れてまうのよねん。なのでホントは他のTrに換装したかったんだけど、なにせコイツの
  ボディにゃアーム・アップがふんだんにカマせるようザグリがしこたま掘ってあって、
  更にはそこの穴ぼこにピタリとハマる形状に成型されたプラスティック・パーツが装着
  され、これには萎えました。あまりにもオタクっぽいというか優等生っぽいというか・・・。

  そのイデタチにノック・アウトされてソコ改造する気力も失せ、まあ工作の手間って理由も
  モチロンあるけど、そのザグリにジャスト・フィットなオリジナルTrをそのまま使用することに。
  軍門に降ったような感もあれど、ここは考え方を変えて実用的なロック式Tr装備のエレキが
  手持ちに1本くらいあってもいいかと思うことに。まあその時点でもロック式Trのエレキって
  いちおう2本持ってたけど、一本は
「デストロイヤーU」で持ち運びに不便だし、もう一方は
  SHIFT2001載っけた
「モップローラー」、コッチはシンクロ派生型のTrじゃないから少々
  使い勝手違うし。しかもドッチも変形エレキで、外で弾くにゃ少々こっ恥ずかしいです。

  さて、Trオリジンのままとなると、どっかに改造の目玉箇所がないとツマランということになり、
  そうだアレやってみたかったんだと閃くものが。それはウイリッヒ・ロートのスカイ・ギターに
  設けられている、ネックというかフレット・ボード下に仕込まれたPU配置。あれマネしてみた
  かったの。オイラ工作&メカ好きだけど、ハマるのはギアだとかスプリングだとかの付いた、
  この目にその仕組みが見て取れるもので、その点電気や磁石とかってその作動が視覚的に
  認識出来ない故にその分スゲェとは思いつつも、しかし興味もそれほどではナイのよねん。

  けど、PUが物体に遮蔽されてるのにソレ透過して役目を果たすってことにロマンを感じて、
  いつかやってみたかったのです。とはいえ単にその仕様にするのではなく、そこに必然性を
  持たせなければカッコつきまへん。そこで変則的な24F仕様にしてみることを思い付きました
  (その為にネックもモッキン・タイプのものを使用したのです)。世の24Fエレキは大抵、その
  指板長の為にPU配置の間隔が狭まり、ワテにはどうもアレがせせこましく並んでいるように
  見えてしまって、ビジュアル的に好きではないのです。2ハムにしろ3シングルにしろね。

  なので通常の21ないし22FのエレキのPU配置のまま、24Fのネックと合体、当然フロント
  PUとは干渉するので、それを指板の下に潜らせてしまうと。「なんや、単にミテクレの為や
  ないかいっ」とか「PU位置ずらす手間省いとるだけやんけっ」とかツっ込まれる方も居られる
  でしょうが、ノンノン(ま、それもないとはいえんけど)、ストラトのフロントPUっていうのは
  仮可視化すると24F上にあるのです。「だから?」といわれるかもしれませんが、コレが実は
  重要で、ならば試しにストラトお持ちの方でしたら、レバーSWをフロントPUオンリーに
  セレクトし、4Fの倍音(ハーモニクスですな)を鳴らして見て下さい。どうです?鳴らんで
  しょう。もし鳴ったならそれはインチキなストラトか粗悪なコピー製品です。

  ストラトのあの、えも言われぬフロントPUの音は、単純に前方位置で音を拾っているから
  ということだけでなく、5倍音を殺したというか抜いた構成で鳴っているという周波数的な
  理由もあるのです。と、偉そうに講釈タレましたが、今から20年以上前真夜中にやってた
  成毛滋さんのラジオでのハナシが元ネタです。深夜にも関わらずなかなかのテンションで
  力説されてたので、今もまだよく覚えてます。その成毛さんもお亡くなりになりましたね。
  合掌。とまあ長くなりましたが、これでリッパな必然性も生まれ、この工作堂々と出来ると。

  作業自体はラクなもんで、22F中央辺りからネック後端を指板残してカット、トラス・ロッドの
  ケツっぺたもここまでは入っとらんべと勢いよく出来ました。残りの工作も大してヤマはなく、
  先に記したようにボディやヘッドのシルエット変更加工くらい。あと元ネックは通常ナットの
  ものだったんで、ソレ弾きトバして木工加工少々やってロック・ナット搭載と。そうそう、他の
  項にも書いたけど、ロックタイプのトレモロって、トップ・ロックをクランプしちゃえば後はもう
  ペグなんて用ナシじゃん。だから精度も必要ないし、取り敢えず弦巻き上げられれば充分
  なんで、ペグなんかいっちゃん安モノを使っちゃうのよワシの場合。

  それに安物ペグにも利点あって、そのテのタイプは大抵ドライバー1本でバラせて、しかも
  逆巻きに組み替えなんかも出来るから、ストラト系の6連タイプのペグだったものが、御覧の
  ように4対2にも出来るし、もちろん3対3にも5対1でもお好みのままに。ただし台座は当然
  6連のままなんで、そこら辺が気になっちゃう人には不向きな改造ではあるけど。ヘッド裏の
  画像も付けたけど、それがよく解るでしょ。あとこれ、ヘッド裏まで着色してあるのう。いつも
  とは違ったマッチング・ヘッドにしたかったのかなと思ったけど、お〜記憶蘇った。ほら、元が
  3対3のヘッドで当然ペグ穴も空いてたから、その跡塗り潰したかったのねんボクちん。

  最後は電装。PU配置は2S1Hで元のままだけど、PU自体はすべて非オリジナル。リア
  ハムはヘキサ・レンチでBPを12ケすべて昇降させられるタイプ、ミドルのシングルはBP
  径の広いシェクタータイプで、同じく同社のようにコイル・ターンも切り替えられる構造。で
  フロントはごく普通のシングルと。で、リアにはお約束のトライ・サウンドをVOLとTONE
  間に、1弦側のホーンにはミドル・シングルのタップを、それぞれミニSWで装着してます。

  そんなトコで完成して音出ししてみるワケだけど、まず気になるのはなんといっても隠蔽
  されたフロントPUが、ちゃんと仕事するかってことね。するってと出音はするんだけど弱い
  のよ。やっぱ遮蔽しちゃうとそうなるんかなぁと思ったけど、実は最初フロントにシェクター・
  タイプ載っけてたの。常用度高いフロントにターンも切り替えられるコレ持って来る方が
  よかっぺってことで。だけどコイツってば出力高そうなミテクレして、その実まったく見掛け
  倒し。更にターン数絞ったらもう蚊の鳴くような音よ。で、イラっと来てミドルに配置して
  あったシングルとテレコにしてフロントに持って来たら、なんだゼンゼンふつーに音出る
  じゃんっ。まったく〜、無駄に落胆させおって。

  で、総合的な音とはいえば、やっぱし質量高いTrに振動食われちゃうのか無機質な音で、
  これもワテがロック式Trを好きではない点のひとつ。ロックタイプのTr搭載したことに依る
  音質変化、ってことはよく巷でも話題になるけど、ソコにイチバン効いて来るのはなんと
  いってもTr本体の質量だと思う。システム複雑化での重量増に超ナイフ・エッジでスタッド
  接触ってのが揃ったら、もうギター本体なんて鳴らんでしょ。

  
「デストロイヤーU」に付いてるイバニーズのTrもけっこう部品点数多く大袈裟なカンジでは
  あるものの、支点の接触部分は円面構成でフリクション高いのかアームのアクションは少々
  重いんだけど、その分ギターにも振動伝わるようで鳴りはそんなに悪くない。けどもこの
  ヤマハのヤツはまさに先に記したような超ナイフ・エッジ。ボディ軽く叩いても即座に反応
  するようなイキオイで、簡単にフラッター掛かるのよ。きっとコレ飛び跳ねながら演奏したら、
  ベック得意ワザのビョンビョン音がずっと鳴りっぱなしになって、音楽にならんじゃろて。
  メロコアとかスカパンクとか、おっちゃんには今日びのそのジャンル分けがよ〜解らんけど、
  共通してるのはよく飛び跳ねてることだから、彼らにゃ向かんエレキじゃねっ。

  ロック・ナットでの音質変化ってことも言われるけど、別にクランプ前と後で音質の差もないし、
  だからプラのナットを牛骨に換えたら音よくなった、とかいう材質変更の範疇でのハナシでしょ。
  それよりは断然Tr本体の影響の方が大きいと思うよ(ただ音程可変に措いてはトップ・ロックが
  アリとナシとでは大分変ってくるけどね)。

  まあそんなこって、ロック式Trが付いた実用的な1本にしようとして作ったはいいけど、音も
  イマイチ、アームの使い心地もかなりヨロシクない。その簡単にフラッター掛っちゃう悪癖、
  トップ・ロック付特有の音程可変、そしてコイツのアームバーってトルク調整する機能が付いて
  おらず、任意の位置に留めて置けないの。テフロン・ガイドでその役目果たそうとしてるんだろう
  けど、スデにユルユルになって遊んじゃってま〜す。アームぶらんぶら〜ん(画像は頑張って
  止めて撮った)。

  オイラの大好物のTrがそんな三重苦なんでもうガッカリです。もちろんアームのトルク調整の
  仕掛けなんて後付けでいくらでも加工出来るけど、もはやそんな気力も起きませんでした。
  そういえばコイツの工作のメイン・ディッシュって、PUをフレット・ボードの下に配置すること
  だったなどと思い出せば、虚しさがいっそう増すばかりです(涙)。



















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