フットボールやサッカーの選手がサイドラインのところでベンチの上に脚をのせ、氷のうを足首に縛り、弾性包帯を巻いている場面を見たことがあるでしょうか? この選手は、スポーツ外傷の応急手当を行っているところです。RICEといって、筋肉を挫傷・靱帯を捻挫・骨折など、ほとんどすべてのスポーツ傷害に適用できる最初の治療法で、スポーツにおける応急処置の基本原則を表したことばです。このRICEは、氷冷(Ice) ・休息(Rest) ・圧迫(Compression) ・高挙(Elevation)の頭文字を取ったものです。
休息(Rest)
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怪我した部位を引き続いて使うと、悪化することがあるので休息が必要になる。怪我をしたらその部位を使うことをやめること。三角巾や松葉杖などを使い受傷部位を動かさないように工夫します。
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氷冷(Ice)
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氷は、血管を収縮させるため、破れた血管の出血を最小限に抑えることが出来ます。傷口に集まる血液量が多ければ、それだけ治るのに時間がかかります。スポーツ傷害では、シップで冷やしてもアイシングとしての目的を達成できませんので、注意して下さい。
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圧迫
(Compression)
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圧迫は、腫れを抑えます。腫れは、放置しておけば回復を長引かせる。怪我をすると、周囲の組織からその部分に血液と体液が流れ込み、組織を膨張させます。腫れは、細菌を殺す抗体を運ぶので、有益である場合もありますが、皮膚が破れていない時は、抗体は、不要で、腫れは回復を長引かせるだけに終わるからです。
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高挙
(Elevation)
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怪我の部位は心臓よりも高く持ち上げます。これは、重力の働きによって、余分な体液を排出するためです。関節内に血液が余分に残ってしまうと、吸収に時間がかかりリハビリに支障をきたします。
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怪我をすると数秒で腫れてくることが多いので、RICEをできるだけ早く始めなければなりません。これは、医師の指示を待つ必要はなく、病院に運ばれる間、治療の順番を待っている間に回復が遅れてしまわないように直ちに行います。まず怪我の部位にタオルをかぶせその上にアイスパックまたは、氷の小片か塊をのせる。皮膚を傷めることがあるので、氷を皮膚に直接当たらないようにします。圧迫するためには、怪我の部位の周囲を氷の上から伸縮性の包帯を強く巻きます。強く巻きすぎて、血行を妨げることがないように注意しなければなりません。血行か妨げられた場合、しびれ、痙攣、痛みが現れので、こうした症状のうちいずれか1つでも現れたら直ちに包帯を取ります。それ以外は、30分間アイスパックと包帯をそのままにしておきます。次いで、皮膚を温め血行を良くするために、15分間包帯を取ります。それから再度包帯を行い、この手順を3時間繰り返します。3時間後にまだ腫れがあり、痛みが強くなるようであり、しかもまだ医師の診察を受けていない場合は、ただちに医師にみてもらうこと。怪我がひどい場合は、このRICEを24時間やっても良く。怪我をして48時間経過しても、痛みと腫れが続いている場合は、温めてみると良くなる場合があります。それ以上の治療は、怪我した組織によって違ってくるので、医師の指示に基づいて行います。
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